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さよなら夏の日

 最近の学校は明日で夏休みが終わるところもあるそうだ。僕らが子どもの頃は夏休み最終日といったら、8/31と相場が決まっていた。そして、その日は残った宿題を片付けるのにひぃひぃ言ってた。当時はそんな夏の終わりを恨んだりもしたが、社会人になると、それもいい思い出だ。

 僕が社会人になって数年目に、山下達郎が「アルチザン」というアルバムを発表した。このアルバムはとてもよく聴き込んだものだ。特に『さよなら夏の日』を聴くと、学生時代の甘酸っぱさが瑞々しく心に広がる。まぁ実際あのような女の子とプールに行って虹を見るなんて経験はこれっぽっちもないんだけれども。男ばかり仲間たちと連れだって、意味もなく海に行って、微かに秋の匂いを運ぶ風とどことなく寂しげな潮騒の音に夏の終わりを感じたものだ。そんな繊細な気持ちは歳を経るごとに失われていく。

 けれども、達郎はこの曲で、過ぎ行く夏の日と若き男女の恋の行く末を重ね合わせて、あらゆるものが"急ぎ足で変わって行くけれど"、"どうぞ変わらないでどんな未来訪れたとしても"と謳う。

 そんな歌詞が、どんどん学生時代のイノセントを失ない、社会人として理不尽な現実に向き合わなければならない自分に突き刺さっていたのだろう。今にして思えば。

 達郎は、初期、作詞に関しては他人に任せることが多かった。有名なところでは『LAST STEP』『潮騒』『SPARKLE 』などの吉田美奈子である。ソロファーストアルバム「CIRCUS TOWN」(1976年)ではA面 New York Side、B面 Los Angels Side と銘打って、それぞれの都市のミュージシャンとレコーディングするなど、サウンド志向であった。

 しかし、7作目のスタジオ・アルバム「MELODIES」(1983年)以降、カバー曲などの一部例外を除いて全曲自分で作詞をするようになった。自身がパーソナリティを務めるラジオ番組(SUNDAY SONG BOOK、もしかしたらSATURDAY SONG BOOKだったかも)で「デビューの頃はサウンド作りで精一杯で作詞までなかなか手が回らなかったが、数年経って、いつまでも続けられるはずもないから、これからは自分の納得のいく曲をやろう。それには、自分の中から出てくる思いを言葉に紡いでいかなければ、説得力のある歌にならないと痛感して、自分で作詞をするようになった」という主旨の発言を聴いたことがある。(まぁその当時の達郎の意に反して、今でも現役として活躍しているわけで、これはファンにとっては、うれしい誤算。)

 そんな思いが込められているからこそ、「さよなら夏の日」(1991年)は多くの人の心に残る曲になったのだろう。そして、忘れてはならないのは、その歌詞をのせたサウンドが素晴らしいこと。作曲に疎い僕としては、コード進行、アレンジ面でどのような工夫がなされているかはわからない。この点に詳しい方がいたら、是非教えてほしいと思う。でもそのような音楽理論がわからなくても、いい曲だなぁと感じられるところが、また、音楽の良さだったりする。歌詞とメロディー、そして更に言えばサウンドが相まって人の心を揺さぶる。曲は、歌心が込められてこそ、生き生きとし、その素晴らしさが人々に届くのだろう。たとえ、歌詞のないインストゥルメンタルであろうと、その中には歌心が必要なはずだと僕は思う。

 そのような器楽曲で歌心がどのように演奏されるのか、楽しみなテレビ番組がある。明日8/27(日)9時放映のテレビ朝日「題名のない音楽会~吹奏楽で聴く山下達郎の音楽会」である。

http://www.tv-asahi.co.jp/daimei/sphone/#

演奏予定曲 「クリスマス・イブ」「パレード」「硝子の少年」「アトムの子」

こんな風に歌心を込めて欲しいな、わがままリクエスト

「クリスマス・イブ」………超有名クリスマス・ソング。バロック調のコード進行にのせた待ち人来たらずの歌なので、荘厳さの中にも、切なさを込めてほしい!

「パレード」………シュガーベイブ時代の初期作品。パレードの楽しさによって町全体が浮き足立つカンジを表現してほしい。

「硝子の少年」………かのKinKi Kidsのデビューに提供した曲。今カノに裏切られた少年の歌なんだけれど、サビの"stay~ with~ me~"の叶うことのない願いを歌い上げる前のタメの部分、ここに複雑な男心を表してほしい、、、ちなみにこれは松本隆作詞。

「アトムの子」………さよなら夏の日とともにアルバム「アルチザン」に収録された曲。"どんなに大きくなっても僕等はアトムの子供さ、どんなに大きくなっても心は夢見る子供さ"と子ども心を忘れないぞ宣言の歌。中盤のサビでの"Fe-Fe-Feel it! Fe-Fe- Feel it! Oh boy "の箇所を前半小気味良く、後半伸びやかに演奏することによって、大人になりきれない人ではなく、自分の意思で純粋さ、真っ直ぐさを堅持するぞと管楽器で謳い上げてほしい!

以上、素人の戯言です。見過ごしてやってください。

でも、実際、どのように演奏されるのか?興味津々!

しかぁ~し、当日は仕事で鑑賞できず。そのうえ、録画環境もなし。という悲しいオチ。BS なんて、夢のまた夢。。。

是非、ご覧になった方は感想をコメント欄にお寄せください♪

マツカン さよなら夏の日 プール
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